パーソナルトレーナーとして独立するためのステップとは?

現在トレーニングジムに勤務しているパーソナルトレーナーの方に向け、独立1年前から開業までのステップを時系列でご紹介しています。

資金さえあれば、独立することは至って簡単です。ただし、たとえ独立したとしても、ビジネスとして成功するかどうかは別問題です。

独立後も安定的な収入を確保するためには、しっかりと時間を掛けて綿密な計画・準備を整える必要があります。

パーソナルトレーナーとして独立するあなたを応援します。

勤務トレーナーが独立するまでの大きな流れ

気合いとやる気さえあれば、独立開業は数か月でも十分に可能ですが、幸先の良いスタートと安定経営のためには、なるべく1年ほどの期間を掛けて十分な準備を整えていきたいものです。

開業1年前から開業までの大きな流れを確認しておきましょう。

  1. 【開業から1年前】ビジネスコンセプトの決定・事業計画書の作成など
  2. 【開業から半年前】物件探し・導入設備の検討など
  3. 【開業から3か月前】融資の申請・内装工事など
  4. 【開業から1か月半前】集客活動・設備の導入・システム構築など
  5. 【開業から10日前】開業後のリハーサルなど
  6. 【開業直後】開業届等の提出

以上の流れを具体的に解説します。

1.【開業から1年前】ビジネスコンセプトの決定・事業計画の検討など

ビジネスコンセプトを決める

どのようなターゲットを客層とし、どのようなサービスを提供することで、どの程度の売上を見込むかというビジネスコンセプトを検討します。

会社帰りの社会人に軽度のトレーニングを行うジム、健康維持を目的とした高齢者にストレッチなどを提供するジム、シェイプアップしたい主婦層に贅肉を落とすトレーニングをするジム、筋トレ好きの若い男性に負荷の大きいトレーニングを行うジム、などです。

開業場所を決める

ビジネスコンセプトを実現するためにふさわしい開業場所を決めます。

ターゲットごとに、会社帰りの社会人ならビジネス街、高齢者や主婦層なら住宅街、若い男性なら学生街、などです。

事業計画の概要を検討する

ビジネスコンセプトや開業場所を踏まえ、事業計画の概要を検討します。

事業計画は、開業資金の融資を受ける上で大事なポイントになる部分です。融資の審査担当者が納得できる事業計画を提示するため、今からじっくりと時間を掛けて練り上げていきましょう。

2.【開業から半年前】物件探し・導入設備の検討など

物件を探す

開業するための物件を探します。
トレーナーとして勤務しながらの物件探しは大変ですが、避けては通れない重要なプロセスです。

ジムへのアクセス状況、ジムの広さ、家賃、階数、天井高、防音状態、荷重などの細かい要素も踏まえ、足を使って不動産屋を回りましょう。

導入設備を決める

ビジネスコンセプトにマッチした導入設備を決めます。
導入設備の中心はマシンです。軽度のトレーニングを行うジムなら有酸素マシンとスミスマシンなど、重度のトレーニングを行うジムならウェイトトレーニングマシンなど、健康維持を目的にしたジムならストレッチマシンなどが中心になるでしょう。

なお、利用者の安全性の視点から、家庭用マシンの導入はおすすめできません。

運営システムを決める

ジムの運営システムを決めます。
少ない会員数を想定したジムならアナログ運営でも構いませんが、将来的に多くの会員獲得を目指すのであれば、入会システムや会員情報管理システム、会費管理システムなどをIT化すべきでしょう。

付帯サービスを決める

競合他社との差別化を図るため、各種の付帯サービスの導入を検討します。
主な付帯サービスは、Wi-Fi設備、ウォーターサーバー、水素水サーバー、BGM、有料ロッカー、アロマディフューザー、プロテイン販売などです。

3.【開業から3か月前】融資の申請・内装工事など

融資の申請手続きをする

金融機関に融資の申請手続きを行います。
自己資金のみで開業できれば幸いですが、開業には数百万円から1千万円ほど掛かると想定されるため、多くの方は融資を受ける形になるでしょう。

融資申請先の第一選択は政府系の日本政策金融公庫です。やや審査の難度は上がりますが、銀行や信用金庫も有力な融資申請先となります。

国や自治体が主催している起業家向けの補助金・助成金制度もあるので、事前にリサーチしておきましょう。

内装工事を行う

パーソナルトレーニングジムとしてふさわしい内装へリフォームします。

居抜き物件を再利用する場合には比較的簡素な工事で済みますが、スケルトン物件を利用する場合には、工期が長くなり、コストも高くなることを承知しておきましょう。

4.【開業から1か月半前】集客活動・設備の導入・システム構築など

集客活動を行う

集客活動を行います。
最低限行っておきたい集客活動は、SNSアカウントの設置、公式HPの開設、看板の設置、ポスティング・ビラ配りです。

昨今の傾向からSNSアカウントの設置は必須ですが、開業後の更新作業の手間を考え、アカウントは2つ程度に抑えておいたほうが無難です(InstagramとLINEなど)。

また、会員の多くは近隣住民や近隣に勤務する人になるため、ポスティングやビラ配りも怠らないようにしましょう。

設備を導入する

マシンをはじめ、ジム運営に必要な設備を導入します。

なるべく設備購入費用を抑えたい方は、中古品の購入やリースの利用を検討してみても良いでしょう。

システムを構築する

入会システムや会員情報管理システム、会費管理システムなど、先に検討していたシステムを具体的に導入します。

退職願いを提出する

遅くとも退職1か月前には、勤務しているジムに退職願いを提出します。

人材不足の折、ジムにとって辞められることは大変な痛手。全力で止められる可能性がありますが、強い意志をもって退職を願い出ましょう。

お世話になった会社に極力迷惑をかけないよう、本来であれば3か月以上前から上司へ退職の意思を伝えておくことが理想です。

なお、独立するにあたり、会社から「競業避止義務」を通達される場合があります。「退職から一定期間、近隣でジムを開業してはならない」という内容です。

もし理不尽な内容(半径10km以内で2年間にわたり開業禁止、など)であれば、弁護士等に相談したほうが良いでしょう。

5.【開業から10日前】開業後のリハーサルなど

開業直後から円滑なジム運営ができるよう、開業後のリハーサルを十分に行っておきましょう。

特に繰り返しリハーサルを行っておきたい部分はシステム系。入会システム、顧客管理システム、予約システムなどにITツールを利用する場合、十分にツールへ習熟しておく必要があります。

6.【開業直後】開業届等の提出

開業届を提出する

開業から1か月以内に、所轄の税務署へ開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出します。

書き方は大変シンプルなので、料金を掛けてまで専門家に相談する必要はありません。税務署の窓口に行けば、担当者が無料で丁寧に教えてくれます。

青色申告承認申請書を提出する

開業届の提出と合わせて、青色申告承認申請書も提出しておきましょう。

青色申告承認申請書を提出することで最大65万円の控除が適用されるため、大きな節税効果につながります。

その他の届け出も行う

必要に応じ、都道府県税事務所へ個人事業開始申告書、消防署へ防火対象物使用開始届、保健所へ食品衛生法に関する書類を提出します。

【まとめ】独立開業はリスクがあるものの夢のある働き方

現在、ジムに勤務するパーソナルトレーナーとして働いている方に向け、独立開業までのステップを時系列でご紹介しました。

独立した場合、勤務トレーナーの時代に比べると収入は不安定になるリスクもありますが、逆に、自分の努力や工夫次第で収入は青天井で上がる可能性もあります。

リスクはあるものの、夢のある働き方と言えるのではないでしょうか。

ただし、もし独立したいならば、当ページでご紹介した通り1年ほどの準備期間は必要となります。必要に応じて専門家などにも相談しながら、十分な時間を掛けて計画的に準備を進めていきましょう。