パーソナルジムを開業するための物件をどう探せば良い?

パーソナルジムを開業する際の物件の探し方について解説します。

パーソナルジムの独立開業を成功させるためには、トレーナー自身の経験・スキル・知識などの他にも、安定的な経営を維持できる物件が必要です。集客率は物件の条件に大きく左右されるとも言われることから、物件探しには慎重にならなければなりません。

どのような立地を選ぶべきか

パーソナルジムを開業するにあたり、最初に考えるべきポイントは立地です。「自宅に空いたスペースがあるからジムとして活用したい」という方もいるようですが、自宅がジム経営に適さない立地にあれば、開業後、集客に苦労するかもしれません。

家賃節約の都合で安易に自宅を選ぶのではなく、長期的な安定経営が見込まれる適切な立地を検討したほうが良いでしょう。
ジム開業における立地選びのポイントを3点ほどご紹介します。

ターゲット層が多く往来する地域を選ぶ

まずは、ターゲット層(お客さんとして想定している層)が多く往来する地域を探します。そのためのポイントは3つあります。

①ターゲット層を明確にする

大規模な面積の大手ジムならば、ターゲット層を決めず「千客万来」を前提にしても問題ありませんが、個人開業のパーソナルジムの場合、同業他社との差別化を図るために、ターゲット層を明確にしたほうが集客しやすいこともあります。

「ダイエット目的の女性」「筋トレ好きの男性」「健康維持が目的のシニア」など、ターゲット層を明確にすれば選ぶべき立地の絞り込みに繋がります。

②近隣の住宅環境を調査する

ターゲット層が多く往来する地域かどうか、近隣の住宅環境を調査します。
例えば、比較的若い男女をターゲット層とする場合、ワンルームマンションが多く立ち並ぶ地域が有望となるでしょう。逆に、シニアをターゲット層とする場合には、戸建て住宅の多いエリアのほうが適しています。

③ターゲット層が通いやすい場所を探す

ターゲット層の通いやすい場所に物件を探すことも重要です。
例えば、会社帰りの人たちをお客さんにしたい場合、駅近や繁華街に近い場所に物件を借りたほうが集客率は上がるでしょう。主婦層に通ってほしいのであれば、ショッピングモール内に物件を借りると良いかもしれません。

近隣に割安な大手ジムがない地域を選ぶ

お財布事情が寂しい昨今、いかに理想的なジムを開業したとしても、近隣に割安な大手ジムがあれば、お客さんの足は割安なジムへと向く可能性が高いでしょう。

大手ジムがあるエリアには、潜在的にトレーニングへ関心のある人が多いという理由で、あえて大手ジムの近くにパーソナルジムを構えたほうが有利という考え方もありますが、この考え方はハイリスク・ハイリターン。基本的には、近隣に割安な大手ジムがない地域を選んだほうが無難です。

納得できる家賃相場の地域を選ぶ

パーソナルジムの開業に適した場所は多数見つかりますが、現実として、そのような場所の物件は家賃が割高になります。
ジムの経営を大きく左右する要素が固定費。固定費の多くを占める要素が家賃。

同じエリアにある同じような条件の物件を比較する際には、少しでも家賃の安いほうを選ぶようにしましょう。不動産会社や大家に家賃交渉をしてみることも大切です。

物件を比較検討する際のポイントとは

立地を絞り込んだら、次に物件自体の条件をチェックします。パーソナルジムに適した条件として、以下5つのポイントを確認しておきましょう。

パーソナルジムを開業できる物件を選ぶ

物件を契約する前に、不動産会社へパーソナルジムの開業が可能かどうかを確認します。住宅専用の物件では、基本的にジムの開業ができません。

内装の自由度が高い物件を選ぶ

ジムの開業にあたり、ジムに適した内装工事が必要になることもあるでしょう。不動産会社へ相談する際には、契約に先立って、内装の自由度が高さを確認しておく必要があります。

床の強度が高い物件を選ぶ

重量のあるトレーニングマシンを設置する予定ならば、床の強度を確認しておくことも重要です。
木造の物件では、床の強度に不安があるだけではなく建物の揺れにも繋がる恐れがあるため、必然的に鉄筋コンクリート造の物件を探すことになるでしょう。

一定の天井高がある物件を選ぶ

パワーラックなどを導入する場合、マシンの高さや懸垂運動を考慮すると、最低でも2.5m以上の天井高がある物件を選ぶ必要があります。

防音性の高い物件を選ぶ

マンションやオフィス用物件などでは、壁や天井・床などを挟んで「お隣さん」がいます。トレーニング中は音楽を流したり声掛けをしたりするため、お隣さんに騒音で迷惑をかけないよう、防音性の高い物件を選ぶことが大切です。

マンションの一室でジムを開業できるか

結論からいうと、マンションの一室でもパーソナルジムは開業できます。ただし、マンションでのジム開業にあたっては、以下2つの条件を満たす必要があります。

【条件1】オーナーや管理組合が開業を許可してくれること

大前提として、マンションのオーナーや管理組合からジムの開業許可を得ることが必要です。住居専用として運営されているマンションの場合、基本的に開業の許可を得ることは難しいでしょう。

商用可能なマンションでも、騒音や揺れなどの理由からジム開業ができない場合もあるので、事前に必ず確認しておく必要があります。

【条件2】ジム運営に適した物件であること

仮にジム開業が可能なマンションだったとしても、天井高や防音性、耐重性などの理由で、ジムには適していない物件もあります。実際に物件へ足を運び、ジムに適しているかどうかを自分の目で確認しましょう。

マンションの一室でジムを開業する際の注意点

ジム開業に向けた各種の条件が整っているマンションだったとしても、一般的に賃貸マンションでは大がかりな内装工事ができません。内装デザインにこだわる方は、マンション以外の選択肢も検討したほうが良いでしょう。

また、マンションの一室ではスペースが狭くなってしまうことから、1日に多くの予約を入れることができません。物件の広さ次第ですが、対応可能な人数は1日5人程度が限界ではないでしょうか。低単価で薄利多売を目指すトレーナーには、マンションでの開業は向いていないかもしれません。

ジム用物件の家賃相場

不動産会社では、ジム開業に適した物件を多く紹介しています。参考までに、東京都内におけるジム用物件の家賃例を見ておきましょう。

東京都内におけるジム用物件の家賃例(月額)

  • 目黒駅/40.0㎡…225,500円
  • 高円寺駅/41.6㎡…265,000円
  • 高田馬場駅/66.6㎡…363,000円
  • 広尾駅/73.5㎡…313,500円
  • 代官山駅/41.3㎡…299,750円
  • 六本木駅/37.2㎡…206,800円
  • 恵比寿駅/48.8㎡…297,000円
  • 銀座駅/62.4㎡…415,800円
  • 中野駅/35.5㎡…176,000円
  • 蒲田駅/25.0㎡…111,100円

地域的な理由の他にも、物件の築年数やアクセス条件などが家賃を左右します。

【まとめ】お客さんの目線に立った良好な物件を探しましょう

いかに経験・知識のあるパーソナルトレーナーだったとしても、開業する物件の条件によっては、理想通りの集客ができない可能性もあります。

長く安定的にジムを経営していくためには、お客さんの目線に立った適切な物件探しが不可欠。複数の不動産会社に足を運ぶなどして、決して妥協せず、十分に時間をかけて良好な物件を見つけましょう。