パーソナルトレーナーとして独立する時に注意しておきたいポイントとは?

パーソナルトレーナーとしての独立は、基本的に税務署へ開業届を提出するだけで完了します。

しかし、独立したとしても、経営に成功するかどうかは別。集客できず早々に廃業するパーソナルトレーナーも多い中、経営を軌道に乗せるためには、事前に注意点を十分に踏まえて独立の準備を進めることが大切です。

ここでは、パーソナルトレーナーとして独立する際の注意点をまとめています。

パーソナルトレーナーとして独立する際の一般的な注意点

パーソナルトレーナーとして独立する方法には、ジム開業や週末起業、フランチャイズ契約など、いくつかの種類があります。独立に際しては、それぞれの種類に異なった注意点がありますが、どの種類を選ぶのであれ共通した注意点もあります。

以下、パーソナルトレーナーとして独立する際の一般的な注意点について見ていきましょう。

本当に必要なものだけにお金を使う

いざ独立開業をするにあたり、「内装をもっとかっこよくしたい」「色んなマシンを導入したい」「都内の一等地にジムを構えたい」などと欲が出てしまい、つい初期費用を使いすぎるケースが見られます。

完璧なジムを目指したい気持ちは分かりますが、初期段階で欲を出しすぎるのは問題。開業から数か月は赤字が続くことを想定し、なるべく初期費用を抑えるように努めたほうが良いでしょう。内装やマシンへのこだわりは、経営が安定してから実現しても遅くありません。

家賃の安さだけで物件を決めない

独立してジムを構える場合、なるべく家賃負担を抑えるために、家賃の安さを重視して物件を決める方もいるようです。

条件の良い立地・エリアなら、家賃重視で物件を探しても良いかもしれませんが、家賃を重視するあまり悪条件の立地・エリアを選ぶのは得策でありません。多少家賃が高くても立地・エリアが良ければ、高い家賃分を売上でカバーできる可能性があります。

家賃がタダで済むことを理由に自宅開業をお考えの方も、いったん立ち止まって考えてみましょう。

集客のための努力を怠らない

パーソナルトレーナーとしての経験や実力がある方の中には、実力さえあればお客さんが自動的に集まってくれる、と考える方がいるかもしれません。

しかしながら、現実として、経験・実力をアピールするだけで十分なお客さんを確保することは至難の業。公式HPやブログ、SNSなどを頻繁に更新したり、営業時間外は地道にチラシ配りをしたりなど、常に集客のための努力を怠らない姿勢が大切です。

逆にいえば、パーソナルトレーナーとしての経験がやや不足していたとしても、集客活動や丁寧なカウンセリングとフォロー、的確なマーケティングリサーチ、有望な人材雇用などにより経営を成功に導くこともできます。

競合他社と特徴が被らないようにする

近隣にあるトレーニングジムのコンセプト等をよくチェックし、特徴が被らないようにしましょう。

例えば、近隣に「ダイエットしたい女性向け」を謳うジムがあるならば、まったく異なるタイプの「健康維持をしたいシニア向け」を謳ったジムを開業ほうが、集客率は上がる可能性があります。

自分の信念よりもお客さんのニーズを優先する

プロのパーソナルトレーナーである以上、経験から得られた自分なりのこだわり・信念を持っていることが普通です。そのこだわり・信念がファンを集めることもありますが、安定経営を目指すためには、ある程度妥協してお客さんのニーズに合わせる姿勢も大切です。

今まではマッチョ作り専門で活躍してきたパーソナルトレーナーでも、お客さんからのニーズがあれば、ダイエットや健康維持、腰痛対策などにも柔軟に快く対応できるパーソナルトレーナーになりたいものです。

閑散期の対策を考えておく

一般的に、パーソナルトレーナーは春から夏が繁忙期で、秋から冬が閑散期です。洋服でボディラインを隠せる季節は閑散期となりますが、この間の営業戦略は十分に考えておいたほうが良いでしょう。

閑散期にお得な新規入会キャンペーンを実施したり、閑散期のリピート料金を割引したりなど、お客さんや地域の特性に応じた閑散期対策をしっかりと行う必要があります。

節税対策もしっかりと行う

少しでも手元に残るお金を多くするためには、売上を上げることはもとより、経費節減や節税対策を行うことも大切です。
節税対策については、青色で確定申告をするだけでも、かなり大きな節税効果を得られます。

また、家族などが仕事を手伝ってくれる場合には、家族を専従者として登録することで、家族に対する給与を経費に算入できるので節税につながります。
もとより、トレーナーとしての活動に必要な出費はすべて経費算入できるため、もれなくレシートや領収書を保管しておくことが大切です。

副業・週末起業で独立する際の注意点

普段はジムの社員や契約社員などとして働きながら、副業・週末起業などの形で「半独立」するパーソナルトレーナーもいます。
副業・週末起業で独立する際の主な注意点を見てみましょう。

本業で務めるジムで副業・週末起業を許可しているかどうか確認する

正社員や契約社員としてジムで働いている方の場合、社則によって副業・週末起業が認められていないケースも少なくありません。
事前に社則をよく確認するか、または上司や総務担当者などに相談してみるようにしましょう。

顧客化のルールを確認する

たとえ副業・週末起業が認められたとしても、本業のジムで担当しているお客さんを自分のジムへ横流しすることは、基本的にできません。
他にも、自分のジムでの顧客化に関して、本業のジムで何らかのルールを設定している可能性があります。顧客化に関連するトラブルを防止するため、事前によく確認しておきましょう。

本業に追われてお客さんに迷惑をかけないようにする

本業が忙しくなり、自分のジムのお客さんに迷惑をかけないように注意しましょう。本業のジムも自分のジムも繁忙期は重なるため、予約管理は慎重に行う必要があります。

フランチャイズで独立する際の注意点

パーソナルトレーナーとしてジムを開業する方の中には、すでに知名度のある大手ジムとフランチャイズ契約をする例も見られます。
以下、フランチャイズで独立する際の主な注意点を確認しておきましょう。

フランチャイズ本部のイメージ変化がリスクにつながることもある

例えば、フランチャイズ本部が何らかの不祥事を起こして社会的に悪いイメージとなった場合、真剣に経営しているフランチャイズ店でも、悪化したイメージのあおりを受けて経営にダメージが生じるかもしれません。

フランチャイズ契約をする際には、本部の経営方針や理念などを確認し、信頼できる企業かどうかをよく確認しておきましょう。

経営の自由度が低下することは避けられない

フランチャイズ店として運営する以上、本部が決めた一定の方針を遵守する必要があります。具体的には、導入マシンの種類や内装、メニューの中身などです。
自由に経営したい方は、複数のフランチャイズ本部を比較し、なるべく店舗側の自由度が高いところを選んだほうが良いでしょう。

【まとめ】将来起こりうるリスクも考慮して慎重に独立の計画を

パーソナルトレーナーとして独立する際の主な注意点をご紹介しました。

独立に向けて力強く前進していく姿勢は大事ですが、勢い・熱量だけで経営は成功しません。正確にいえば、高い熱量を持ちながらも、将来的に起こりうるリスクを冷静に分析し、慎重に独立へ向けた準備を進める必要があります。

ご紹介した注意点を十分に踏まえつつ、場合によっては税理士などの専門家にも相談の上、リスクを最小限にした計画の中で独立を目指しましょう。