パーソナルジムを開業するにあたり、「筋トレが好き!」「人に筋トレの楽しさを伝えたい!」という純粋な気持ちを持っていることは大切な要素です。ただし、趣味ではなくビジネスとしてパーソナルジムを開業する以上、長期的・安定的に運営を続けられるよう十分な準備をしてから開業する必要があります。
ここでは、パーソナルジムの開業、およびビジネスとして安定させるために必要なもの・ことについて詳しく解説しています。
1.資金
事業規模や立地、こだわりなどにもよりますが、パーソナルジムの開業には150~1,000万円ほどの資金が掛かります。ミニマムなジムで良い場合には150~200万円程度で開業も可能ですが、事業としての本格運営を目指すのであれば、最低でも500万円ほどは必要になるでしょう。
資金の主な調達方法には、次のようなものがあります。
自己資金
自己資金のみで開業コストをまかなえるのであれば、それに越したことはありません。
ただし、経営が軌道に乗るまでの生活費などを考慮すると、自己資金をぎりぎりまで開業資金に充てることは好ましくないでしょう。
日本政策金融公庫からの融資
政府系の日本政策金融公庫から開業のための融資を受ける方法です。事業計画を立て、かつ一定の自己資金を用意できる方であれば、比較的低いハードルで融資を受けられます。
銀行・信用金庫からの融資
これまでパーソナルジムの経営で成功した経験のある方や、パーソナルトレーナーとして十分な実績のある方なら、銀行・信用金庫の融資審査に通る可能性もあります。
自治体の補助金制度
開業のための資金補助制度を用意している自治体があります。お住まいの自治体まで確認してみましょう。
2.物件
パーソナルジムを運営するための物件が必要です。物件は大きく分けて、テナント、マンション、レンタルジムの3種類があります。
テナント
テナントとしてパーソナルジムの開業が可能です。ただし、事務所やクリニックなど、本来の用途が異なる商業物件ではパーソナルジムの開業ができないケースもありますので、事前に入居規約を確認しましょう。
マンション
マンションの一室を借りてパーソナルジムを開業する方もいます。ただし、商業利用が認められていないマンションも多いので、事前に管理規約やオーナーの意向を確認しておく必要があります。
レンタルジム(シェアリングジム)
パーソナルトレーナー向けに、マシンなどの設備が整ったレンタルジム(シェアリングジム)が用意されています。利用料金は掛かりますが、初期費用を抑えてスモールスタートしたい方には向いている物件です。
3.マシン
各種のトレーニングマシンを導入する必要があります。可能な限り初期投資を抑えたい方はリースでマシンを借りることもできますが、リースには各種制約があることも多いため、可能であれば購入が望ましいでしょう。
運営コンセプトにより導入すべきマシンや台数は異なりますが、多くのパーソナルジムでは、次のようなマシンを導入しています。
- スミスマシン
- パワーラック
- プレートローディングマシン
- ケーブルマシン
- マルチマシン(複数のトレーニング機能を搭載したマシン)
- トレッドミル
- 体成分分析装置(体脂肪や内蔵脂肪などを測定するマシン)
マシンの他にも、例えば次のような備品を用意したほうが良い場合もあります。
- パソコン
- インターネット環境
- プリンター
- 清掃用具
- 冷蔵庫
- テーブル・椅子
- タオル
- ウォーターサーバー
- 紙コップ
- プロテイン
- レンタルウェア
- 全身ミラー
- 空気清浄機
- 各種アメニティ、など
4.届出
開業する際には、規定の公的窓口で届出を行う必要があります。
個人事業として開業する場合と会社として開業する場合とでは、届出の手続きや窓口、費用などが異なる点にご注意ください。
個人事業として開業する場合
個人事業として開業する場合には、ジムがある場所を管轄する税務署に行き、開業届を提出します。簡単な書類ですので、専門家のサポートを借りる必要はありません。
厳密にいえば、届出を出さなくても個人事業の開業は可能ですが、確定申告を通じた納税は必要です。なお、開業届とともに青色申告による確定申告を登録すれば、大きな節税効果を得られるため、開業届は出しておいたほうが良いでしょう。
会社として開業する場合
会社として開業する場合には、定款の作成や公証役場での認証、法務局での手続きが必要となります。いずれも難しい手続きですので、通常は司法書士や税理士などの専門家のサポートが必要となるでしょう。専門家のサポートを受ける場合、会社設立費用や代行手数料として合計約30万円のお金が掛かります。
5.資格(開業にあたり特別な資格は必要ない)
士業などとは異なり、パーソナルトレーナーの開業に特別な資格は必要ありません。ただし、集客力を上げるためには、トレーナーに関する民間資格や理学療法士などの国家資格を取得していたほうが有利になるでしょう。
6.集客
開業することを決めたら、なるべく早い段階で集客活動を始めます。
基本的にはジムの周辺に住む方々や勤務する方々がお客さんの候補となるため、折込チラシやポスティングなどのアナログな宣伝活動は欠かせません。
他にも、公式HPの開設やWeb検索システムへのリスティング広告など、Web上における営業活動も検討してみましょう。
無料で利用できるSNS(Instagram、Facebook、Twitterなど)を活用した発信活動は必須です。開業前から情報発信を始めましょう。
7.コンセプト
開業計画を立てるに先立ち、パーソナルジムのコンセプトを決めることが大切です。
コンセプトの例としては、「ダイエット」「ボディメイク」「運動不足解消」「ストレス発散」「競技出場」などがあります。
市場での差別化を狙って突飛なコンセプトを考える方もいるようですが、差別化にはなってもニーズに合わない恐れがある点に注意が必要です。
例えば、近隣でダイエット目的の競合ジムが流行っているなら、地域ではダイエットのニーズが高いと考えられます。差別化を狙うよりも市場ニーズに順応したほうが安定経営につながることもある、という考え方も大切です。
8.利用システム
入会金、トレーニングメニュー、料金など、ジムの具体的な利用システムを策定します。
とりわけ料金は会員の数を左右する重要なポイントとなりますので、近隣の競合ジムの状況をよくリサーチし、適切な水準で料金設定をしましょう。
なお、料金はトレーナーの経験や立地だけではなく、マシンの質によっても左右されます。様々な機能を搭載したマルチマシンを導入する予定の場合には、相応に強気な料金を設定して良いかもしれません。
ちなみに、マシンが充実しているパーソナルジムの料金相場は、レッスン1回あたりで8,000~15,000円ほどと言われています。
【まとめ】ご紹介した内容を軸に細かい肉付けをするイメージで
パーソナルジム開業にあたり、必要となるもの・ことについてご紹介しました。
細かい部分を挙げれば、他にも必要となるもの・ことがたくさんあります。ただし、ここでご紹介した内容を軸にして細部を肉付けしていくイメージを持てば、まずはパーソナルジム経営のスタートラインとして不足はありません。
夢の実現に向け、十分な準備をしながら一歩ずつ開業を目指しましょう。